西のくま東のくま
作者の石井睦美さんは、「すみれちゃん」シリーズの方ですね。
さんぽの途中で自分を落としてしまったくまの話です。
むむ、哲学的だなぁ…と感じるかもしれません。
でも、児童文学、特に幼児・低学年向きの本や絵本って、
哲学的な本って多いですよね。
ものごとの本質を問うような。。。
「くまの子ウーフ」とか。
このお話、2ひきのくまが出てくるんですが、
読んでいるうちに、ある別の作品が頭に思い浮かんできます。
キャラ設定や、話の構成がとても似ています。
東のくまが◯◯くんで、西のくまが◯◯◯くんです。
この◯◯くんと◯◯◯くんのシリーズの本は、
子どもたちに大人気です。
なんで大人気かというと…それはこのエントリーに書いてあります。
https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/book/2687/
この本も、類似したこのシリーズも、
主人公たちがおまぬけで、失敗やかんちがいを起こします。
そこが共感ポイントなんでしょうが、
ここが、ステップアップのターニングポイントなのではないかと最近考えています。
この本は、文量的にも、内容的にも中学年向けですが、
同じ中学年向きの「流れ星におねがい」や「オレンジソース」とは、
ここの部分がはっきりと違います。
要するに、大人からみると、
「ありえない失敗やかんちがい」なのか、
「ありえる失敗やかんちがい」なのかの違いです。
「そんなん、気づくやろ!」と思わずつっこみたくなるか、
「あーあー、あるある、そういこと」となっとくするかの違いです。
ステップアップ以前の子は、この本を読んで、
「ありえない失敗やかんちがい」に共感し、楽しむことができます。
「そんなん、気づくやろ!」とつっこんだりしません。
だから、本を子どもにすすめるときに、
この子が今どこのステップにいるのか、
また、今ステップアップのチャンスなのかをちゃんと見極めて、
その子にぴったり合った本を選書してあげることがとても重要なのです。