かぜのおくりもの

 

かぜのおくりもの (1983年) (創作童話シリーズ)

かぜのおくりもの (1983年) (創作童話シリーズ)

 

これはやばかった。

何がやばかったかというと、

この本を、居酒屋で読んでいたから。

普通、こういう時って、上を向くのだけど、

さすがに居酒屋では怪しまれるので、

ずっと本に向かって下を向いていると、

さらにもっとやばい状況になる。笑

こんな感じのストーリーです。

 

裏表紙に、「創作童話シリーズ」とか、

「対象年齢中学年以上」とか書いてあるんだけど、

「いや、これはどう考えても対象は大人じゃね?」

「これのどこが童話なの?」

とか、考えてしまいます。

 

 

モチーフになっているのは福岡筑豊の情景。

作者の奥さんの思い出からのインスピレーションのようです。

私はこの筑豊にずいぶんとご執心な時期があって、

それは高校2年生の時に「青春の門」を読んだからなんですね。

母親に頼み込んで、連れて行ってもらいました。

 

さて、話はどんな感じかというと、

 

「登志のおとうさんが、ある日ふいに姿をけしてから、 もう一年になる。そのあいだ、お父さんは一度も帰らなかった」

 

という衝撃的な出だしであります。(中学年以上向きではない)

お父さんに会いたい登志と、もっと会いたいお母さん(中学年以上向きではない)

筑豊どん底の貧乏生活(中学年以上向きではない)

炭鉱事故、死、大人のエゴ(中学年以上向きではない)

 

初っ端の「疑問」は終末になってようやく明かされますが、

「あー、やっぱりそうだよね」というベタな結末です。

ですが、ですが、それを超えて泣かしにきます。笑

 

挿絵が長谷川集平さんで、圧倒されます。

途中何度か声も出ない感じになります。

すごいです(語彙力不足…)

 

ぜひぜひみなさん、読んでみてください。