佐藤さんは、年の頃は30歳前後、見た目童顔でイケメンの優男風でした。
ホテルニューオータニだったかどこかの一流ホテルで料理人として働き始め、
30歳くらいで辞めたと言ってました。
一言、「修行が辛かった…」とのことでした。
こう聞くと、一生懸命頑張って、なかなか芽が出ず、
毎日の修行の辛さに、辛くて泣く泣く辞めざる終えなかったのかなぁと想像してしまいますが、
どうも佐藤さんの様子を見ていると、そんな感じは1ミリも感じません。
なんで辞めたのか、それはめんどくさかったんだと思います。
こんなん、やってられっか!と飛び出したんだと多います。笑
自分でも言ってましたが、佐藤さんは根っからの「遊び人」でした。
酒好きで、三世の仕事が2時で終わると、
すぐ本店に行って朝までベロベロになるまで飲んでいました。
店の客とすぐ意気投合して、
国分寺の怪しげな夜の店に繰り出していました。
金遣いも荒いし、人付き合いも荒い人でした。
本店から200mくらいしか離れていない店に、
わざわざタクシーを呼び出して移動しているとか、
この人ヤバイという思いを日々してました。
荒いのは人使いもです。
この人、仕事しないんです。
まあ、だからホテルを辞めた(辞めさせられた?)んでしょう。
うちの店は細長いカウンターがあって、その内側がキッチンになっているんですが、
その中で、2人のポジションは、コンロの前の料理役と、
流しの前の洗いもの役とに分かれます。
この佐藤さん、このポジションチェンジが絶妙にうまい。笑笑。
めんどくさい料理のオーダーが入ると、
食材を取るふりして流しのほうにやってきて、
そこの目の前のカウンターの客と話し始める。
流しの中に食器がたまると、頼んでもいないのに料理の手子をはじめて、
いつの間にか料理ポジションにいる。
この人が、皿洗ってるとこ見たことありませんでした。笑笑笑。
こんな残念な感じの佐藤さんだったんですが、
10年以上一流ホテルで料理人として働いていたので、
料理の腕は半端ないものでした。
(続く)