チキン!

 

チキン! (文研じゅべにーる)

チキン! (文研じゅべにーる)

 

 これは一転して、学校のことや子どもたちの心情をとても理解している人の作品。

私自身、この作者の本を読むのは初めてです。

でも、私の教室の「読書家の部屋」には、この作者の本があったみたいです。

 

かあちゃん取扱説明書 (単行本図書)

かあちゃん取扱説明書 (単行本図書)

 

けっこうな人数がこの本を読んでいました。(私は読んでいません)

今回、「チキン!」を読んで、

作者プロフィールを読んで、

あー、あの本の作者だったのか…と気づいた次第です。

 

 

さて「チキン!」

 最後は不覚にも涙が出てしまいました。

ほんと、この作者は学校のことや子どもたちのことをよくわかっている。

前半、日色が「気持ち、わるい」と言った場面。

これ、私の経験上、実は子どもたちにはよくわからない。

このような場面で、学校教育の中で、子どもたちは、

「ごめんね」「いいよ」で『済ませられてきた』から。

ほとんどの子は、この気持ち悪さがわからない。

でも、並みの本なら、ここでみんなこれを理解して、

「そうだ、そうだ」でハッピーエンドの大団円を迎える。

でも、この本の中では、

この気持ち悪さを理解しているのは、

日色と真中さんだけ。

もうこれだけで、超リアルです。

後半、給食準備の場面があるのだけど、

これ、「この作者先生だったのかな?」と思って、

もう一度プロフィールを読み直したくらいよく知ってた。

 

ということで、この本はオススメです。

いとうみくさん、しばらく追っかけてみようかと思います。

 

あ、お話は、

ど真ん中の真中さんと、

ヒーローとはまったく無縁の日色くんのお話です。

ブッククラブには最適だと思います。

 

 

ゴールライン

 

ゴールライン (新・わくわく読み物コレクション)

ゴールライン (新・わくわく読み物コレクション)

 

 学校のことや子どもたちの現実のことが、

あまりわかってない人が学校ものを書くと、

(読者が先生だと)ちょっと残念になります。

主人公は小学6年生なんだけど、

いやー、それはないかなーと思ってしまう。

この学校の状況や、友達との関係性は中学生かなーとか、(いや、中学生でもないかなー)

いやー、そんなクラスメイトはいないぞーとか、

急に、えっ、1年生?とか思うようなこっぱずかしい言葉を言ったり…

 

 

それを抜きにして読むと、とても読みやすくて、

すんなりとお話に入っていけます。

200ページを超える本ですが、

ちょっと読めるようになった子たちにはちょうどいいかも。

挿絵も今風だし(^ ^)

前半部分に謎な部分がけっこういっぱいあって、

むむっ、これは伏線か?と思わせて、

でも結果的にはただの後出しだったという残念なところもあるのはご愛嬌です。

ひとつだけ回収されない伏線(謎)があって、

それはちょっと気になります。

でも、たぶん、伏線ではなく、あれだな…と思っちゃいます。

 

 

「ひゃくえむ」と同じように、

「なぜ自分は走るのか」という主人公が抱える悩みがメインテーマなのですが、

陸上選手って、けっこうこういうことに悩むものなのでしょうか。

 

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

 

 この本、むかしむかしに読みましたが、

読み終わった子に、これすすめるにはちょっとハードル高すぎるなー(^ ^)

 

川のむこうの図書館

 

川のむこうの図書館

川のむこうの図書館

 

 『坂の上の図書館』の続編です。

続編とは言っても、話は違います。

違うとは言っても、1巻に出てきた子が主人公になっています。

「同じアパートに住む春菜と同じく要支援家庭の竜司くん」です。

竜司くん、1巻ではけっこうキーポイントになる役柄だったのですが、

途中でぱったりと出なくなります。

その理由はこの2巻でわかります。

竜司くんの家も、春菜の家と同じ「貧困」を抱えています。

またもや作者はさらりと書いていますが、

これ、小学生に読ませるにはけっこう勇気いるかも。

そして、読者にも同じ境遇に近い子がいる場合、

とても配慮を要すると思います。

 

 

再生のお話ですが、ラストは1巻と同じく再生が確約はされていません。

考えさせられるのですが、図書館や本がそれを救うのではないか…

という希望が見えます。

スペインの本屋さんで、本の買えない子どもたちに対してはじまった、

「読書へのアニマシオン」とちょっとかぶるところがあるように思いました。

3巻が出版されるのを期待して待っていたいと思います。

ぼのぼの 第44巻

 

ぼのぼの 44 (バンブーコミックス)

ぼのぼの 44 (バンブーコミックス)

 

 漫画ですが…

私はこれは、良質の読み物だと思っています。

 

今を遡ること、35年前。

うら若き甲斐崎青年は、兄貴のこ汚い下宿の部屋で、

一冊の漫画本と出会います。

それがこの「ぼのぼの」です。

作者は、宮城県出身いがらしみきお

以来、単行本が出版されるたびに買い集め、ただいま44巻目になります。

35年間で44巻ですから、けっこう間隔が長いですね。

それはこの漫画が四コマ漫画だからです。

連載されているのはそんなにメジャーではない雑誌です。

でも、この漫画はかなりの人たちに受け入られています。

子どもたちにも、けっこうな割合で認知されています。

それは、アニメにも、映画にもなったから。

アニメはちょっと原作のテイストを無視してギャグっぽくなっているのは残念ですが、

めっちゃおもしろいのはたしかです。

 

 

さて、この漫画、なぜ私が好きかというと、

主人公のぼのぼの(ラッコの子ども)が、

けっこう物事の本質をついた問いを平気で投げかけるからなんです。

純粋無垢なゆえに生まれる問い、今回は…

 

「ぼくはこの前魚をとっていた」

「岩の陰に小さいカニがいたよ」

「そしてお昼を食べている時に気がついたんだ」

「あの小さないカニとはもう二度と会えないんじゃないかって」

 

という問いからはじまります。

そして、最終的に…

 

「この世界はほんとにスゴイなぁと思うのだ」

 

となります。

ぜひ、読んでみてください。笑。

作者によると、

今まで会った人とこれから会う人のうち、約9割はもう二度と会えないそうです。

 

 

このぼのぼのの漫画を、私はずっと新規採用の頃から教室に置いていました。

(リーディング・ワークショップに取り組むまで)

なので、私の担任した子どもたちはみんな、ぼのぼのが大好きです。

私が好んでこのぼのぼののイラストを、

ノートやらテストやら学習資料やらに書き込むので、刷り込まれるんですね。

本自体も、たくさんの子どもたちに読まれました。

みんな、「かわいい!」「おもしろい!」とか言ってましたが、

あるとき、卒業生(高校生になっていた)の男の子が遊びに来た時、

その男の子が、

「先生、あのぼのぼのは、小学生じゃほんとの意味はわからないよ」

と、伝えてくれました。

私は思わず「だろ!」と大きな声で答えたことを覚えています。

その子は、自分んちでもぼのぼのの漫画を買ってもらい、読み続け、

高校生になった時に、気付いたようです。

そう、このぼのぼのは、とても哲学的な本なんです。

だから、読み物としても十分楽しめるのです。

 

 

この漫画にはもうひとつ私が魅力を感じているものがあります。

それは毎回のユニットの最初に載せられる「詩」なんです。

その詩がまたいい!

昔、作者のいがらしみきおさんは、

このぼのぼのの漫画をモチーフにして詩を書き、

毎年カレンダーにして販売していました。

その数年分をまとめて、1冊の詩画集として出版しました。

 それがこの本です。

 もうこれが最高にいいのです。

この中で、私が最高に好きな、そして、座右の銘ならぬ、座右の詩にしているのがこれです。

 

知っていることは多くなったけど、

知らないことはもっと多いだろう

知らないことが多いのは構わないんだけど、

見たことがないのはくやしい

歩いたことがないのはもっとくやしい

 

体験学習法信奉者の私としては、

私のために書いてくれた詩だと思っています。

詩も書くし、絵本も書きます。

絵本は全部で6冊。

1番のおすすめはこれ。

 

 それ以外のも全部紹介しちゃおう!

全部いいので!!

 

クリスマスのこと (ぼのぼのえほん)

クリスマスのこと (ぼのぼのえほん)

 

 

 

かわいそうのこと (ぼのぼの絵本)

かわいそうのこと (ぼのぼの絵本)

 

 

 

メガネヤマネくんのこと (ぼのぼの絵本)
 

 

 

 

 

しまっちゃうおじさんのこと (ぼのぼのえほん)

しまっちゃうおじさんのこと (ぼのぼのえほん)

 

 3、4、5冊目の絵本たちは、まさに「哲学」です!

ぜひぜひ子どもたちと楽しんでください。

 

最後に、詩画集の中から、1編紹介します。

この詩画は、大きなサイズで出版されて、

額縁に入って、いがらしみきおの直筆サインが入って販売されました。

うら若いことはない甲斐崎おじさんは、

この詩画に新宿のある店で出会います。

ときはクリスマス、自分へのプレゼントとして、

大枚叩いて思わず買ってしまったわけであります。

 

誰かが来ないかな

そして

「迎えに来ました」

って言ったらスゴイ

その上

「みんな待っていますよ」

って言わないだろうか

それからオジギをされて

ボクの肩をうれしそうに

トントンたたいたりしないだろうか

 

絵と一緒に読むともっといいんだけどな〜

絵と一緒に読みたい人は、軽井沢の私の家まで遊びに来てください(^ ^)/

 

 

 

 

坂の上の図書館

よき本に出会えました。

これはいろんな子どもにすすめたい。

そして、大人にも。

 

坂の上の図書館

坂の上の図書館

 

 対象年齢は小5から大人。

テーマは子どもと大人ではずいぶん違うことになると思います。

大人が読むと、「貧困」とか「貧困の連鎖」にぐいっともっていかれる人がいると思います。

私もそうなりました。

胸が苦しくなる感じです。

すごく考えさせられてしまいます。

お母さんの生き様や気持ちは、子どもにはちょっとわからないかもしれない。

作者は、主人公の5年生の女の子春菜にもそれがよくわからないと書いています。

物語の最初の20ページくらいまでに、

「あけぼの住宅」に入居するまでの母子家庭の親子の様子がところどころ書かれているのですが、

たぶん、小学生はさらっと読み流してしまうでしょう。

でも大人が読むと、衝撃が強くて思わず口を押さえてしまいます。

悲惨な感じにならないように、作者がさらっと書いているところもあります。

途中、ところどころお母さんの話が出てくるんですが、

ここでも春菜は詳しく聞こうとしないし、

お母さんの過去に関係しないように(関心がないように)ふるまいます。

ここらへんの心理はブッククラブで問いにするとおもしろいかもしれません。

重篤な病気をかかえる清水くん、

同じアパートに住む春菜と同じく要支援家庭の竜司くん、

そして、両親がいない(最後のほうでわかる)親友の佐久間さん…

春菜を取り巻く友達たちも、

なんらかの生きづらさを抱えています。

繰り返しになりますが、この作者、さらりと書きます。

だから逆に重い…

 

 

小学生が読むと、本(or図書館)と自分との関係にテーマが変わると思います。

春菜の再生の物語なんですが、

そこに「本」「図書館」「司書」がからんできます。

結果的には、お母さんの生き方まで変えてしまいます。

友達たちとも、本との関係の中でエピソードが綴られます。

ブッククラブをすると、ここに自分の経験をつなげて話す子が多いでしょう。

 

 

なんにせよ、子どもにも大人にも読んでほしい本でした。

作者の池田ゆみるさんは、図書館司書です。

読み終わって作者紹介を読んで、「なるほどな」と思ったしだいです。

西のくま東のくま

 

西のくま東のくま (どうわのとびらシリーズ)

西のくま東のくま (どうわのとびらシリーズ)

 

 作者の石井睦美さんは、「すみれちゃん」シリーズの方ですね。

さんぽの途中で自分を落としてしまったくまの話です。

むむ、哲学的だなぁ…と感じるかもしれません。

でも、児童文学、特に幼児・低学年向きの本や絵本って、

哲学的な本って多いですよね。

ものごとの本質を問うような。。。

「くまの子ウーフ」とか。

 

 

このお話、2ひきのくまが出てくるんですが、

読んでいるうちに、ある別の作品が頭に思い浮かんできます。

キャラ設定や、話の構成がとても似ています。

東のくまが◯◯くんで、西のくまが◯◯◯くんです。

この◯◯くんと◯◯◯くんのシリーズの本は、

子どもたちに大人気です。

なんで大人気かというと…それはこのエントリーに書いてあります。

https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/book/2687/

 

 

この本も、類似したこのシリーズも、

主人公たちがおまぬけで、失敗やかんちがいを起こします。

そこが共感ポイントなんでしょうが、

ここが、ステップアップのターニングポイントなのではないかと最近考えています。

この本は、文量的にも、内容的にも中学年向けですが、

同じ中学年向きの「流れ星におねがい」や「オレンジソース」とは、

ここの部分がはっきりと違います。

要するに、大人からみると、

「ありえない失敗やかんちがい」なのか、

「ありえる失敗やかんちがい」なのかの違いです。

「そんなん、気づくやろ!」と思わずつっこみたくなるか、

「あーあー、あるある、そういこと」となっとくするかの違いです。

ステップアップ以前の子は、この本を読んで、

「ありえない失敗やかんちがい」に共感し、楽しむことができます。

「そんなん、気づくやろ!」とつっこんだりしません。

 

だから、本を子どもにすすめるときに、

この子が今どこのステップにいるのか、

また、今ステップアップのチャンスなのかをちゃんと見極めて、

その子にぴったり合った本を選書してあげることがとても重要なのです。

 

 

 

頭のうちどころが悪かった熊の話

 

頭のうちどころが悪かった熊の話

頭のうちどころが悪かった熊の話

 

 全7話の短編集です。

表題作ともう1編を読んで読むのをやめました。

もし、「もっと読めばいいのに、おもしろいから」

と言ってくれる人がいたら読みます。

巻末の書評がよかったです。

小泉今日子が書いてます。