キッドナップツアー

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)


またLC用の本見っけ!

この本と、「夏の庭」「ポプラの秋」「つきのふね」あたりで、
「人と人のつながり」について考える…なんてどうだろうか?


このお父さん、不思議な人。
普通に考えればちっとも魅力的な人じゃない。
ハルにとってみてもそうなんだけど、
父親であるがゆえにその人について考える。
考えたり、ユウカイ中の旅先でのいろんな人との中で、
父と娘というつながりを超えて、
人と人とのつながりについて考える。


だからいろんな人が出てくる。
出会った人はもちろんのこと、
偶然に電車で乗り合わせた人や、
街の風景の中に、
いろんな人の描写が出てくる。
読んでいる途中で、
なんでこんなに人の描写が出てくるんだろうと思った。
ちょっと異常なくらい。
ハルの目に見える人、人、人、人…


かと思うと、
夜の海の上や、破れたテントで眠っているときに、
ハルは一人になる。
となりに父親がいるのに一人になる。
でも、近くにはだれかがいる。
そこが解説の重松清さんも書いていたけど、
肝なんだろうな。
みなさんも読んでみてください。


最後、父親は「男の人」になっていた。
その男の人がハルは大好きなんだと。


ハルの思い出す昔の風景が、
自分にもとっても懐かしかったです。