春のオルガン

春のオルガン (新潮文庫)

春のオルガン (新潮文庫)


湯本香樹実3冊目。
3作中、一番もんもんとしてるかも。
子どもから大人への階段を上りはじめる時の話。
アンチテーゼとして弟のテツがいる。
このテツがいい。
もう一人、またまたおじいちゃん。
そして…となりの意地悪じいさん。
いやーこのじいさんひどい。
猫おばさんもよし。


中間の「大人」はどうして湯本さんはいい人を書かないんだろう。
いや、いい人なんだけど、不完全な大人をよく書く。



「どうしようもないもののために戦うのが勇気ってもんでしょ。」
猫おばさんの言葉。



猫おばさんの正体は最後まで明かされない。
解説にも書いてあったけど、
ひとつひとつのトピックに原因はあっても結果がなかったり、
結果があっても原因がわからなかったり…
と、話の展開に謎が多いのがもんもんとする原因かも。
主人公のトモミの心象風景の描き方がとてもいいです。