学校公開参観記 『ライオンと魔女』ブッククラブの巻②

学校公開の時に、保護者だけでなく、一般の方々も見にきてくれました。
けんじくんの参観記は2つ前の記事を見て下さいね。
ちょっと間が空いてしまいましたが、2組目の方々の参観記を承諾を得て紹介します。
来ていただいたのは、「スクールFC」という学習塾の方々4名です。
学習塾の方々が来ると分かって非常に緊張したんですが、
とてもあたたかいフィードバックをいただきました。
ありがとうございます。
ではでは…


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Aさん
先日は先生の授業を見学させていただき、誠にありがとうございました。
「読書指導」の授業を見学するのが初めてで、その内容の深さに驚き、とても感動しました。
問題意識をもって本を読むこと、またその問題意識を友達と共有すること、
その後の内省の時間、どれも子どもの「主体性」を重要視した構成となっていて、
「勉強」の本質であると感じました。
また甲斐崎先生の発言は授業を通して最小限であるにも関わらず、
子どもたちの集中は途切れることなく、また先生への信頼、子ども同士の信頼も出来上がっていて、
クラスの雰囲気作りにおいても大変勉強になりました。



Bさん
今回は、お忙しい中にもかかわらず、このような機会をいただき、本当にありがとうございました。

教室にあふれるクリエイティブな雰囲気、それがあのクラスの基準である、ということと、
「太った質問がしたい!」という気持ちで授業に参加している子どもたちの姿に、感銘を受けました。
出た答えの講評やシェアはせず、
あくまで「質問のおもしろさ」への言及に徹されていることの意味。
書籍に書かれていた「良い質問がどれだけ話し合いの場にあるか。それが重要になります」という言葉の意味が、すとんと腑に落ちました。
現在私は、中学受験を目指す子、高校受験を目指す子、そういう意識ではまだいずに「国語」を学ぶ子、私塾の場で、さまざまな学年の子の国語の授業を担当しています。
その中で、読んでいる内容に対して、「ん?」とひっかかりを感じる力、
それが疑問であれ、興味であれ、違和感であれ、筆者の仕掛けへの反応であれ、
その「引っかかりを感じる力」をこそ伸ばしたいという問題意識は、日々強くあります。
「太った質問をしよう(=太った疑問を書き留めておこう)」と考えつつ読みつづけることで、
その部分はとても磨かれるだろうな、ということを感じましたし、
同時に話し合いの場でそれぞれの質問にふれ、考えてみることで、
「自分がわかっていそうでわかっていなかった部分」があることに気付かされたり、
「引っかかりを感じる部分は人それぞれだなあ」と感じさせられたりと、
自然に自分の世界が広がったり、自分とは違う他者の存在に触れられるようにもなっている。
その濃密さ、自分で考え、他者の考えに触れ、また自分で考える、という広がり方、深め方が上手く回っている感じに、感動しました。
ぜひ、私たちの実践にも取り入れさせていただきたい、という、わくわくした思いでいっぱいです。



Cさん
先日は公開授業に参加させていただき、ありがとうございました。
小学校に入るのは幼い時以来で、なつかしいような緊張するような感覚を抱きながら授業を拝見させていただきました。
ブッククラブという授業の形式は初めて拝見しましたが、
子どもたちから発せられる言葉の量、質の高さに驚きました。
私もナルニア国物語は大好きで、子どもの頃に何度も読み直した記憶があります。
その上で、「ライオンと魔女」の50ページから、子どもたちの自由な会話と豊かな視点、
「ほんとにそうかな?」と思う力が15分間もの間絶えず育まれ続けていることに感動しました。
加えて、生き生きと話す子どもたちの様子を、ゆっくりと見守る甲斐崎先生の温和な表情がとても印象的に残りました。
子どもたちの目線と同じになるまで姿勢を低くして、同じ視線からお互いの意見を言い合う様子は、
本に対して主体的に読むことを目標にしていなければできないことかと思います。
その生徒たちへの伝え方や、少ない言葉で心を掴んでいる様子を見て、
たくさんのことを学ばせていただきました。
またお会いできたらとても嬉しいです。
これからも是非よろしくお願い致します。


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過分なフィードバックありがとうございます。
自分への振り返りにもなりました。



質問が5つありましたので、
前々回のけんじの投稿とかぶる部分はそちらを読んでいただき、
足りない部分をお答えいたします。



質問項目
①子どもたちが手にしていた「読書家ノート」には、「質問」のほかに子どもたちはどのようなことを書いてきているのでしょうか?


「質問」のほかに、「思い描く」「つながりを見つける」「予想する」の4点で読んできたことをノートにまとめています。詳しくは前々回を。


② 課題図書(例えば「ライオンと魔女」)は、一年間で何冊くらいのペースで進めますか?
 また、それらの本は学年やクラスの雰囲気などを考えて選定しているのですか?


全員で同じ本を読むのはこれが最初で最後です。読み方のレッスンをするためと、ブッククラブのならし運転という意味合いで1回目だけ全員で同じ本を読んでいます。これ以降は、何冊かの中から子ども達が選書するという段階を経て、最終的には、子ども達自身が本の用意するところから選書までしてブッククラブを立ち上げるようになります。「ナルニア国物語」にしてるのは、「読みやすい」「原作に忠実な映像がある」「読み終わった後の達成感が得られる文章量と質」「大量にそろえやすい」などなどです。学年に関しては、4年生からでも大丈夫だと思います。



③ 課題図書(今回の「ライオンと魔女」)は甲斐崎先生のクラスのみ購入しているのですか?
その場合の、本の費用や購入方法、また他クラスと教材費が異なることについての保護者へのご説明内容などを、差し支えなければ教えて頂ければ幸いです。


私のクラスだけです。本の購入はすべてブックオフです。すべて105円です。40冊ありますので4200円です。ちなみに読書家ノートも私が購入して子ども達に渡しています。ですから、保護者の負担金は0円です。説明もしていないし、聞かれたこともありません。
教室には約1600冊の本が置いてあります。そのうち300冊ほどがブッククラブ用の複数册ある本です。105円以上の本は買わないと誓って集め始めました。でも、退職するまで使いますから、そんなに高額ではないです。


④ 「太った質問・やせた質問」を子どもたちにレクチャーすることに関して、その導入はどのようなタイミングとやり方で行われているのでしょうか?


これは前々回とかぶるので省略。


⑤ お互いに本について積極性を持って語り合うことができる十分なレベルに至るまで、どのくらいの時間を要しますか?

いつはじめても大丈夫です。参観したときは5月ですから、クラス発足1ヶ月後のときです。そこまでに、教科書の文章を2つ使ってそれぞれ1時間ずつブッククラブもどきをやった意外は、ひたすらに一人読みをしていました。
私たちはいろいろやり過ぎなんです。用意し過ぎ。子ども達に手渡すのがとても怖いので、あれこれあれこれ子ども達を「指導」して、変なことをしないようにしないように型にはめていこうとします。そして満を持してブッククラブを導入し…思う通りに行かずにがっくりします。(笑)
ブッククラブは1年生でも、幼稚園生でもできます。その子達なりに楽しく読んで楽しくおしゃべりします。書くのはちょっとスキルが必要ですけど、読んだりしゃべったりって小さい子でもできるじゃないですか。だったらブッククラブはできます。
ミニレッスンで読み方をレクチャーはしますが、それを使うか使うか使わないかは子ども達の自由です。すべてをみんな教えて、みんながきっちり先生の思う通りにできるようになってからブッククラブを始めると、たぶん恐ろしくつまらないブッククラブになると思います。子ども達を信じてやってみましょう。「すべての子ども達はは有能で、自ら学んでいける力をもっている」と私は思っています。
導入の時期は、本を読めているかどうかより、話を聞けているかどうかのほうが気になります。先生の話を黙って座って聞けるかではないですよ。子ども達の関係性の中に、聞き合える関係性があるかどうかのほうが私は気になります。ま、それもやっていくうちに子ども達が修正していくものだとも思っていますが。だからいつも見切り発車です。




以上、ありがとうございました。
次の公開は秋です。
10月9日(木)〜11日(土)だったかな。
お暇な方はどうぞどうぞです。