旅のくつ屋がやってきた

 

旅のくつ屋がやってきた (おはなしさいた)

旅のくつ屋がやってきた (おはなしさいた)

  • 作者:小倉 明
  • 出版社/メーカー: アリス館
  • 発売日: 2004/10/01
  • メディア: 単行本
 

 100ページ弱の小編だけど、

かなり読み応えのある内容です。

旅のくつ屋と少年の心温まるお話かと思いきや、

少ししたところで急転直下して、

人間の憎しみの連鎖やら拭いきれない恐怖やら、

集団心理の恐ろしさ、疑心暗鬼と探り合いと…

短いストーリーにブッ込んできます。

逃げ続けた住民がくつ屋をどうするか話し合う場面、

少年とくつ屋が1対1で対峙する場面はスリラー映画の一場面のようです。

これらも怖かったですが、

私が一番怖かったのは、

友達のリックが壁に並んだ30挺あまりの銃を見て、

「あれ、おれにも使わせてくれるかな?」

と無邪気に聞いた場面ですね。

 

最終的に答えは謎のままなのですが、

その謎解きもブッククラブしたらおもしろそうです。

最後の場面、ハートウォームな場面と捉えるか、

いやいや、けっこうひんやりとする恐怖な場面と捉えるか、

どっちでしょう?

普通に読んだら前者ですけどねぇ、

私はひねくれてるから後者かな。