おねえちゃんって、もうたいへん!

 

おねえちゃんって、もうたいへん! (おはなしトントン)

おねえちゃんって、もうたいへん! (おはなしトントン)

 

 いとうみくさんの本を図書館から全部借りてきました。

この本がとてもよかったので、追い続けたいと思います。

https://kaisaki37.hatenadiary.org/entry/2019/11/14/000512

気に入ると、その作家さんをずっと追いかけてしまう読書傾向の人なので、

リーディング・ストーカーになってしまいます。

 

さて、この本、

いとうみくさんの低学年向けのお話です。

amazonでみたら、「おねえちゃんって〜」という題名でシリーズになっているみたいです。

これが何作目なのかはわかりません。

漢数字以外オールひらがなです。

小学1年生女子が主人公で、

いきなりお父さんと妹ができるという設定が1ページ目で明かされます。

妹が生まれておねえちゃんがお母さんからの愛情を受けられなくなって、

すねて、いじけて、でもお母さんの愛情に最後に気づく…

みたいなのが鉄板のストーリーでよくある話なんですが、

まあこの本もストーリー的にはそうです。

でも、設定が再婚して継父と連れ子がある日突然現れるという、

かなりぶっ飛んだ設定になっており、

これ、低学年、意味わかるかなぁ…と思ってしまいました。

まあ、意味なんかどうでもいいか。

とっても幸せなことだし。

でも、主人公の女の子は、

自分より身長も体重も大きい怪獣みたない妹をなかなか認められません。

で、ある日、2人で買い物にい行くということになってしまい…

というお話です。

いとうみくさん、やはりいいですね。

ガールズブルーⅡ

 

 Ⅰを読んで、いまいちみたいな感想を載せたけど、

https://kaisaki37.hatenadiary.org/entry/2019/10/25/232534

思わずⅡをとってしまった。

すみません、表紙に惹かれてしまいました。

マンガでもないのに、この手の策略にひっかかるとは!!

 

と、思ったものの、パラパラっとめくってみるとなんとなく面白そうな予感…

この「パラパラっとしてみる」というのも、

選書のきっかけになるひとつの方法です。

初見の場合は特に。

 

さてさて、Ⅰではなんの盛り上がりも見せなかったストーリー展開でしたが、

Ⅱではどうか!と期待しましたが、

そこのところはまったくぶれずに変わりなしです。

 

 

クライマックスへひしひしと迫る展開も、

巧妙な伏線も、

登場人物の劇的な変容と成長も、

強大な敵対する悪も、

胸がキュンとなる甘酸っぱさや切なさや、

「愛してるよ」「うん、私も」的なラブラブも、

 

でも、その素地はあるんです。

高校卒業後の進路を考える4人の高校生の悩みや葛藤を抱えるストーリー、

伏線だらけの登場人物(脇役含む)、

4人の高校生は優柔不断なお馬鹿女子と怠け者男子と入退院を繰り返す病弱少女と家庭的不幸をもつ肥満少女、

青春を邪魔する阻害要因や人物、

4人とも恋愛対象者がいる、

などなど、ちゃんと準備はできている。

なので、読者は期待する。

でも、何も起きない。。。

 

日常だから。

高校生の日常を、とてもうまく切り取っているんだな。

Ⅱでようやく気づきました。

リアル過ぎる。

ラストなんか、主人公の進路の決断がこれか!!

これがラストか!と思うけど、これが現実なんだな。

だから、2巻まで読んで、ようやくあさのあつこさんの技に気付いた次第です。

 

もうひとつ気付いたこと。

これ、全編、里穂のおしゃべりなんだな。

1巻から実はこの伏線敷かれていたよね。

これ、おしゃべりなんだよ。

だからこの読みにくさなんだ。

この伏線、2巻の最初のほうで「ん?」と思って、

そして、中盤で確信した。

 

大きなストーリー展開はないけど、

どきどきもわくわくもないけど、

主人公の里穂の気持ちは痛いほど伝わってきます。

如月いいやつ!

美咲の生き方には惚れる、

スウちゃんがんばれ!

これ、共感できる女子は多いと思います。

あさのあつこはやっぱり天才だなぁ。。。

 

 

 

里穂のおしゃべりに気が付いてから、

このアニメを思い出してしまった。

この小説とこのアニメ、ちょっとだけシンクロするところがあると思います。

そしてこのアニメ、めっちゃおもしろいのでぜひ観てください(^ ^)

 

 

鳥達のバラード アンプラグド

 

鳥達のバラード アンプラグド

鳥達のバラード アンプラグド

 

はじめての作家さんでした。

 

主人公に憧れるか、

主人公に共感するか、

どっちが多いんだろう。

「こうなりたい」か。

「私と同じだ」か。

以前読んだ、あさのあつこの「ガールズブルー」の主人公と同じく、

この作品の主人公に対しては「私と同じだ」と感じる子が多いと思う。

 でも、そうなると、あまり魅力を感じない主人公になってしまう。

イライラすると感じる子も多いと思う。

同じ話の中に、両方いればいいんだけどね。

うん。

 

チキン!

 

チキン! (文研じゅべにーる)

チキン! (文研じゅべにーる)

 

 これは一転して、学校のことや子どもたちの心情をとても理解している人の作品。

私自身、この作者の本を読むのは初めてです。

でも、私の教室の「読書家の部屋」には、この作者の本があったみたいです。

 

かあちゃん取扱説明書 (単行本図書)

かあちゃん取扱説明書 (単行本図書)

 

けっこうな人数がこの本を読んでいました。(私は読んでいません)

今回、「チキン!」を読んで、

作者プロフィールを読んで、

あー、あの本の作者だったのか…と気づいた次第です。

 

 

さて「チキン!」

 最後は不覚にも涙が出てしまいました。

ほんと、この作者は学校のことや子どもたちのことをよくわかっている。

前半、日色が「気持ち、わるい」と言った場面。

これ、私の経験上、実は子どもたちにはよくわからない。

このような場面で、学校教育の中で、子どもたちは、

「ごめんね」「いいよ」で『済ませられてきた』から。

ほとんどの子は、この気持ち悪さがわからない。

でも、並みの本なら、ここでみんなこれを理解して、

「そうだ、そうだ」でハッピーエンドの大団円を迎える。

でも、この本の中では、

この気持ち悪さを理解しているのは、

日色と真中さんだけ。

もうこれだけで、超リアルです。

後半、給食準備の場面があるのだけど、

これ、「この作者先生だったのかな?」と思って、

もう一度プロフィールを読み直したくらいよく知ってた。

 

ということで、この本はオススメです。

いとうみくさん、しばらく追っかけてみようかと思います。

 

あ、お話は、

いつだってど真ん中の真中さんと、

ヒーローとはまったく無縁の日色くんのお話です。

高学年のブッククラブには最適だと思います。

 

 

ゴールライン

 

ゴールライン (新・わくわく読み物コレクション)

ゴールライン (新・わくわく読み物コレクション)

 

 学校のことや子どもたちの現実のことが、

あまりわかってない人が学校ものを書くと、

(読者が先生だと)ちょっと残念になります。

主人公は小学6年生なんだけど、

いやー、それはないかなーと思ってしまう。

この学校の状況や、友達との関係性は中学生かなーとか、(いや、中学生でもないかなー)

いやー、そんなクラスメイトはいないぞーとか、

急に、えっ、1年生?とか思うようなこっぱずかしい言葉を言ったり…

 

 

それを抜きにして読むと、とても読みやすくて、

すんなりとお話に入っていけます。

200ページを超える本ですが、

ちょっと読めるようになった子たちにはちょうどいいかも。

挿絵も今風だし(^ ^)

前半部分に謎な部分がけっこういっぱいあって、

むむっ、これは伏線か?と思わせて、

でも結果的にはただの後出しだったという残念なところもあるのはご愛嬌です。

ひとつだけ回収されない伏線(謎)があって、

それはちょっと気になります。

でも、たぶん、伏線ではなく、あれだな…と思っちゃいます。

 

 

「ひゃくえむ」と同じように、

「なぜ自分は走るのか」という主人公が抱える悩みがメインテーマなのですが、

陸上選手って、けっこうこういうことに悩むものなのでしょうか。

 

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

 

 この本、むかしむかしに読みましたが、

読み終わった子に、これすすめるにはちょっとハードル高すぎるなー(^ ^)

 

川のむこうの図書館

 

川のむこうの図書館

川のむこうの図書館

 

 『坂の上の図書館』の続編です。

続編とは言っても、話は違います。

違うとは言っても、1巻に出てきた子が主人公になっています。

「同じアパートに住む春菜と同じく要支援家庭の竜司くん」です。

竜司くん、1巻ではけっこうキーポイントになる役柄だったのですが、

途中でぱったりと出なくなります。

その理由はこの2巻でわかります。

竜司くんの家も、春菜の家と同じ「貧困」を抱えています。

またもや作者はさらりと書いていますが、

これ、小学生に読ませるにはけっこう勇気いるかも。

そして、読者にも同じ境遇に近い子がいる場合、

とても配慮を要すると思います。

 

 

再生のお話ですが、ラストは1巻と同じく再生が確約はされていません。

考えさせられるのですが、図書館や本がそれを救うのではないか…

という希望が見えます。

スペインの本屋さんで、本の買えない子どもたちに対してはじまった、

「読書へのアニマシオン」とちょっとかぶるところがあるように思いました。

3巻が出版されるのを期待して待っていたいと思います。