全員と話す

裕幸さんが帝京大付属可児中学校でやってたものをやってみました。

「クラス全員とコミュニケーションをとる」




一人に2分間、計56分間、自分を語り、相手の話を聴く。

最初にメモ書きは用意させましたが、

最後のほうはそんなもの無しで自由にしゃべってました。



振り返りでは、

「全然話したことがなかった人だったけどしゃべれるもんだと思った」

「(相手のことについて)思っていたことと、全然違う印象だった」

「自分のことを語るのは恥ずかしいけど、聴いてもらえるとなんだか嬉しい」

などなど…

強制的ではありますが、

ひとつのチャレンジとしてはこれはなかなか興味深いアクティビティです。

振り返りでもう一つ。

どうすれば相手にいい印象をもってもらえるか、

話しの聞き方でも振り返りをしました。

良好なコミュニケーションを考える上で、

これってなかなかいいかも。

28人とやっていくうちに、

どんどん話しの聞き方が上手になっていくのがわかります。

2時間かかりましたが、

ぜひみなさんもやってみたら?



最初に提示したものはこれです。


YES,ANDコミュニケーションについては最初にレクチャーしました。




最初の投げかけは、

「5年3組はここに、偶然だけど29人集められました。これからみんなは2年間一緒の部屋で過ごしていくわけだよね。こんな狭い部屋の中で2年間も一緒だよ。「一緒のクラスになろうぜ!」って自分で集まったらよかったんだけどね、そしたらもう気心知ってるからやりたいことも何にも言わないでもすんなりできそうだけどね。実際は「この人、見たことはあるけどあんまり話したことないな…」とか「うわー、こいつと一緒だよ、なんか怖そうなんだよなぁ…」とか思ってる人もいると思うんだな。でしょ?」

(うんうんとうなずく子供たち。)

「そこでだな、今からね、クラス全員の人ととおしゃべりをしてもらいます。おしゃべりする中で、自分のことを知ってもらい、またね、相手のことを少しでも知ってもらう機会にしたいのです。」

「えーっ!!」

「時間はたったの2分間だよ。大丈夫だって。逆に2分間じゃたいして自分のことも相手のこともわかることはできないかもしれないけど、これからいろいろとコミュニケーションをとっていく手始めにしてほしいんだな。」

「………。」

「これからみんなは2年間このメンバーといろんな事にチャレンジしていくんだよ。そのときに必要になるのはまずコミュニケーションをとるということだと思うんだな。どう?そう思わない?だからここで先生が無理やりその場をつくってあげる。あはは。」

「………(怒)」

「いきなり話せってつっても難しいだろうから、ちょっとメモを用意してみてもいいからね。今配った紙に、①自分のしゅみ②自分の性格③自分の長所④自分の短所を書いておいて、それをおしゃべりのネタにしてもいいよ。」

(書き込む子供たち。全員書いていた。不安なんだねぇ…)



10分後…

「んじゃ、今からやるよ〜。おしゃべりするときの約束がいくつかあります。いいですか? たぶんみんなは今書いたメモをもとにして話したり、インタビューしたりすると思うんだけど、これね、おしゃべりだからね。そのメモにあんまり頼らないでしゃべってみてね。インタビューはしなくていいからね。相手の話すのにまかせてください。そしてそれを聞く。よーく聞く。OK?」

「相手の話をまずはよく聴いてください。聴いたらそれを認めてあげる。ぜったい否定しないこと。「はあっ?」とか「何それ?」とか、相手が話す気なくすようなことを言わないでね。自分とは違うなぁ…って思っても受け入れること。これが『YES』。そんでそのあとに自分の思いや考えを伝えるの。これが『AND』。二つで『YES−ANDコミュニケーション』っていいます。これをね、頭においておしゃべりしてほしんだわ。そしたらね、これから相手といい関係がつくれていくはずだよ。ま、ためしにちょっとやってみて。」

「………。」

「相手のことを受け入れる、そして自分を伝える。でもまあ、そんなにかたく考えずに、楽しくおしゃべりしてね。」




「んでは、前の列の人机を真ん中に寄せて、椅子を後ろ向きにして。後の列の人、机を壁に下げて椅子を前に出して。はい、これで向かい合わさるよね。内側の人は座ったまんまです。外側の人が時計回りで移動していきます。OK?」

「では、最初の2分間スタートです。どうぞ。」

ってな感じでやりました。

5人くらいやったところで、知り合いとペアになったところはおしゃべりが盛んですが、

慣れない二人は、お互いにメモの項目のインタビュー合戦になってしまい、

しかも、その答えから何も話が発展せず…

という展開になってしまってました。

そこで、全体を止めて介入。

「なんだか記者と回答者になってるよ。おしゃべりするんだよ。メモに書いてあることしゃべるんだったらそのメモ見せりゃいいじゃん。『YESで受けてANDで返す』んだよ。わかった?」



わかるわきゃないって。わかってても大人でも難しいもんね。

ってな感じで1時間目は10人くらいやって終了。

けど子ども達の反応は上々でした。

ただ単純に「話す」だけでも子供たちはうれしいんだね。

それがインタビューみたいにカチコチでも人とコミュニケーションをとるのって、

根源的に何かわくわくさせるものがあるんだなと。





コミュニケーションが大切だとわかっていても、

また、コミュニケーションをとれるようなアクティビティを用意しても、

やはりしゃべらない子はしゃべらない、しゃべれない。

そして、「なんで、コミュニケーションがうまくいかないんだろう」って振り返る。

そしてビーイングなんかに「話を聴く」とか「自分の思っていることをしっかり伝える」とか出てくる。

そして次の活動ではそれを目標にしてやってみよう!ってなるけど、

やっぱりしゃべれない子はしゃべれない、しゃべらない。

「うーん…」って悩む。

んで、このアクティビティ。

んじゃ、無理やりしゃべらせちゃえ!ってすごく乱暴だけど、

しゃべれない子にとってはもしかしたらすごくいい機会なのかもしれないって思いました。

これは私が子ども達の様子を観察した感想です。

相当、敬遠されると思っていたのです。

しゃべれない子は固まってしまうんじゃないかと。

これね、逆。逆です。

日頃うるさい、授業中だろうが大声出しちゃう子が、緊張のあまり固まっちゃう。

そしてしどろもどろになってしまう。話聴けないから(笑)

んで、静かな子、おとなしい子はとても嬉しそうにしゃべる。

基本的にこういう子って話をよく聴けるので、相手がいい印象をもつ。

そして、こういう子たちの印象がクラスメイトの中でいいものなっていく。

尊重されるというかそんな感じ。






そして日を替えて2時間目。

今度はだれもメモを持ってませんでした。

なんだかやたら楽しそうでした。




おもしろいね、これ。