西日の町

西日の町 (文春文庫)

西日の町 (文春文庫)

湯本香樹実さんの4冊目。
「夏の庭」「ポプラの秋」「春のオルガン」ときて…
次は絶対「冬」!!と思っていたら…
残念。。。
この人は、「寡作」です。
4・5年で1作くらいの割でしか書きません。
小説は、上記の4作しかありません。
待ち遠しいのですが…


さて、「西日の町」
湯本さんの作品のモチーフになっている、
「老人と子供」、そして「死」
「夏の庭」では近所のおじいさんと3人の男の子、
「ポプラの秋」では、母子家庭の女の子と大家のおばあさん、
そしてこの作品は、母子家庭の男の子とお母さんのお父さん(ようするに実のおじいちゃん)
3作とも、モチーフは同じなんですが、
伝えようとしている事はぜんぜん違います。
全部読んでいる人、今度語り合いましょう!


3作の中で、一番「クライ」かな。
そして一番「ムズカシイ」でしょう。
とちゅう、何度も読み返してしまいました。
でも、一番短いです。

解説でもなだいなださんが書いていますが、
デビュー作の「夏の庭」のおかげで、
この人は児童文学者と位置付けられちますが、
それはちょっと違うんじゃないかなという気がしてきました。
「ポプラの秋」「西日の町」を読むと、
これはどちらかというと大人向けかなぁと思ってしまいました。
青年向けではなく、完璧大人向けかなと。
子どもが読めない、分からないわけではないですけど。
読者として、登場人物の誰に感情移入するかで読み方が激しく変わってくる作品ですね。どれも。
「春のオルガン」は青年向けだと思います。


まあ、別に、児童文学者だろうがなんだろうがどっちでもいいんですけどね。
この人の作品は私は好きです。
子供たちも大好きです。