評価のこと

参観記はちょっと休憩。



以前話した三者面談、
無事、終了しました。
たった15分間ですが、
内容的には満足です。



中心は、自己評価と振り返り。
これにつきます。
子供たちによるプレゼン、
これも、自己評価(パフォーマンス評価)にあたります。
これができる子は成長できます。
それと自己評価カード。
はんぱなく細かいです(笑)
最後の行まで文字を埋めることを徹底します。
ここを甘くするといい加減になります。
4か月分を振り返るのですから行がたらなくて当然です。





プレゼンは、
ほとんどの子が、テストの点数から、
自分の取り組みのプロセスを「分析」していたのが目立ちました。
これにはちょっと驚き。
今までの子供にはなかったこと。
その他はほんと、多種多様。
楽しませてもらいました。
まずはパフォーマンスを示さなければいけないので、
①成果物の実物を見せる。
 ・今まで読んだ本をすべて机の上に積み上げる。
 ・今までのテストをすべて並べる。
 ・テストの点数の変化をグラフで表す。
 ・家庭科の作品を見せる。
 などなど。
②実演する。
 ・家庭科のボタンつけを○○秒以内にやる。
 ・側転をやる。
 ・けん玉をやる。
 ・ヨーヨーをやる。
 ・立ちブリッジをやる。
 ・歌を歌う。
 ・計算問題をやる
 などなど。



保護者の方々は、
プレゼンの内容もさることながら、
プレゼンをしている姿自体にいたく心を動かされたようです。
こういうことができるようになったんだなぁ・・・



この評価方法について、
夏休み前の最後の学級通信に書いたので読んでみてください。



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親子かっぱの山のぼりNO‘21

             五年一組学級通信 H22.7.23
    

       コンテンツ評価とプロセス評価① 



 三者面談が終わりました。お忙しい中、わざわざ学校まで足を運んでいただきありがとうございました。短い時間ではありましたが有意義な時間になるよう、提供する情報には精選したものを選んだつもりです。若干その点に関して説明不足でしたので、この紙面を借りて説明いたします。
 提供した情報は以下の5つです。



① 子供自身による4月からの振り返りのプレゼンテーション
② 子供の自己評価カード
③ 補助簿
④ 補助簿の補助簿(様々な学習の記録)
⑤ 4年時に受けた平成21年度東京都児童・生徒の学力向上を図るための調査の結果




の5点です。
 この中で重要視しているのは①②です。①②はどちらも子供自身による評価活動になります。4月からの自分のやってきたことを振り返り、自己評価し、分析し、次への課題をもつ、この一連の流れを子供たちには「体験学習サイクル」として説明してあります。活動→振り返り→一般化→適用→活動→…と、連綿と続く構造になっています。この4カ月、子供たちは、日々の活動のすべてをこの体験学習サイクルにのっとって振り返ってきました。ソロ、ペア、グループ、チーム、クラス全体…と構成も様々、黙考、対話、話し合い、討論、ジャーナル、口頭試問…と形態も様々に振り返っては考え、次へ次へと歩を進めてきました。そんな4ヶ月間を、たったの5分間でプレゼンするのなんて難しいとは思います。え?そんだけ?と思うこともあるかと思います。たった一枚の紙きれですべてを書き表すこともできないと思います。でも、子供たちの一生懸命な振り返りです。子供の言葉を思い出し、一文一文に注目していただきたいと思います。





 振り返りの目的は、自分の今の状態をリサーチし、何が強みで何が弱みであるかを分析し、次への課題や取り組み方を考えるためにあります。強みは伸ばし、弱みは克服する、私たちは日々、このことを繰り返して生きています。体験の中からしか私たちは学べません。
もう一つの目的は、私たちのほうにもあります。私たち教師や保護者から見れば、子供たちの状態を知り、何に対してどのような支援を行うかが見えてきます。
 さて、この振り返りで注目してほしいポイントは3つあります。




(1)振り返っている中身(コンテンツ)に注目する。
 このコンテンツとは、学習内容の習得であったり、活動実績であったり、成果であったりと、子供たちが身に付けたものや成長した伸びそのものを指します。子供たちがこの4ヶ月間で、何に取り組み、結果どうなったのか? それに注目してください。子供が今何に興味を持ち、どうなりたいと思っているのかをつかむこともできます。具体的に、何に対して称賛、フォローやサポートをすればいいかがわかります。




(2)達成まで(または失敗まで)の過程(プロセス)に注目する。
 コンテンツ習得(または達成する、実績を積む、成果を出す)までに、子供たちがどのように課題を設定し、取り組み方を考え、そして実際どのようにして取り組み、課題達成していったか、そのプロセスに注目してください。チーム学習の場合は、いかにして協同学習として取り組んだか、学び合いでは、いかにしてクラス全員のことを考え参加できたか等もプロセスにあたります。何をしたかではなく、どのようにしたかということです。具体的に、どのように称賛、フォローやサポートをすればいいかがわかります。




(3)振り返りのプロセスに注目する。
 内容でもなく、過程でもなく、目の前のプレゼンや、自己評価カードでの振り返り自体に注目してください。あったことを思い出して言動を振り返り、それはいったいどういうことだろうと考え分析し、じゃあ次はこうしようと課題を設定する、このような流れを子供が身につけているかに注目してください。「メタ認知」といいます。これができていると、私達は客観的に自分を見つめ直すことができます。自分に向き合い、だれかれの判断ではなく、自立した一個人として自分の行動を決定できるようになります。このプロセスをふんでいるかに注目してみてください。具体的に、どのように質問を投げかければいいかがわかります。




 私個人としては、(2)(3)に重点をおいて、生活や、教科教育をすすめてきたつもりです。結果や内容にこだわることなく、「どのようにかかわったか、取り組んだか」そして、それを「いかにして振り返り次へとつなげたか」にこだわったつもりです。



 ①のプレゼンは、パフォーマンス評価ともいい、実際に成果物や結果を示し(見せたり、やってみせたり)、ながら自分の取り組みを振り返ります。
 ②の自己評価カードは、コンテンツ評価(左側)とプロセス評価(右側)にて成り立っています。




 夏休みの課題は、本当ならば今までの振り返りから、自ら課題設定し、課題を達成するために何をどのように取り組めばいいか考え、実際の日程にあてはめて計画を立て、そしてやってみる…ということをやればいいのですが、今回は全員一律に同じ課題が出ます。基礎的な技能を習得し、基本的な理解を定着させたいからです。でもいつかは、長期の休みにこのような形の課題を出したいと思っています。(ご存知の方は以前「チャレンジ5」という形で私の担当学年で提案したものです) でも、振り返りから今の自分の課題を洗い出し、意識して夏休みの課題に取り組むだけでも断然効果は変わってきますので、ご家族でご一緒に考えてみてください。(夏休み明けの家庭学習は、宿題形式ではなく、このサイクルにのっとった、子供たち自身による課題設定で、自由学習を行う予定です)




 しかし、振り返りで大事なことは、「弱みを見付け分析し、そこをどうするか考えること」だけではありません。日本人はどうしたって「反省」好きです。できないところばかりに注目してしまいがちですが、達成できたところに注目することのほうが大事だと思っています。「できなかったことの構造を解明するより、できたことの構造を解明する方が、これからの人生の成長に役に立つ」と言われます。言われてみれば確かに!って思いますよね。「なぜできなかったか」の答えは、非常に狭いカテゴリーでしか通用しませんが、「なぜできたか」の答えは、かなり広いカテゴリーで通用します。そして、「なぜできたか」の答えは、「できなかったこ
とができるためのヒント」に成り得るということです。自分たちの悪いところを常に意識しているチームと、自分たちの良いところを常に意識しているチームではどちらが生産性が高いかというと・・・そうです、答えは明白。ポジティブな言葉や行動が人を成長させます。ぜひ振り返りではこの点に注意してみましょう。
 


親子かっぱの山のぼりNO‘22
            
             五年一組学級通信 H22.7.23
  
    

        コンテンツ評価とプロセス評価② 



(前号からの続き…)
 さて、(1)のコンテンツ評価で分かる子供たちの力は、知識・理解が中心です。測る方法はペーパーテストが主です。
 (2)のプロセス評価で分かる子供たちの能力は態度と技能です。これを測る方法は、観察、対話、質問、自己評価、ジャーナル、ノート、クラスメイトからの相互評価(フィードバック)などです。子供に聞くと分かると思います。5年1組ではこの方法をたくさんやってきたことが。
 態度と技能には、細かくすると様々な能力が含まれます。
態度には、好奇心、意欲、集中力、共感、思いやり、自尊感情、チャレンジ精神、粘り強さ、責任感、協力、受容、誠実さ、正義、公平、真摯…などなど。
技能には、思考力、判断力、表現力、創造力、想像力、構成力、課題発掘能力、問題解決能力、情報処理能力、情報加工能力、応用力、認知力…などなど。
(1)と(2)、人生を生きる上ではどちらが大切か、社長だったらどっちに優れる人材を採用するか、人として魅力的なのはどっちだ?




できるならば、(1)(2)の両方の能力を身につけてほしい。でも、(2)の能力を身に付けていれば、(1)の力は自然に付いてくるのだと思います。今の小学校の段階では、(2)のほうの能力を身につけてほしいと思っています。だから、1組では、この能力が付くための学習やアクティビティを繰り返しやってきたし、それを測る方法も繰り返しやってきました。「学習の記録」の所見欄には、この観点でみた私からの評価が載っています。ご参考下さい。



『「答えが正しいかどうか」など、「正しく考えられること」に比べれば、取るに足らないことである』



 上記の体験学習サイクルのモデルを考えた、コルブという人の言葉です。ここまで言い切られると結果はどうでもいいのか?とも思いますが、どこに焦点を当てるかは意識して行っていきたいと思っています。




 長くなってしまいましたが、「評価」ってとっても大切です。なかでも自己評価。これができるとできないとでは成長に大きな差が出てきます。私達大人は、「評価」って聞くとすぐ、だれかにやられるものって感じちゃって、なんかいやーな感情しかないですよね。私もそうです。自分が受けてきた教育がまさにそうでしたから。その評価は、ランク付けするための評価だったから嫌な感情があったんですよね。評価は人の成長を促進させるものでなければいけないと思っています。




 子供たちの自己評価を大事にしましょう。自己評価カードをもう一度見てください、読んでみてください。読み返せば読み返すほど見えてくるものがあると思いますよ。私は全員分コピーしました。夏休みに何回か読み返してみるつもりです。そして、夏休み後の一人一人の学習のサポートのために生かしていきたいと思っています。



※私が「評価」に関して参考にしているのはこの本です。おすすめです。


 『テストだけでは測れない!〜人を伸ばす「評価」とは〜』  
           吉田新一郎著  生活人新書


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以上です。
子供たちの夏休みは今まさにこのサイクルの中にあります。



最後の本はこの本です。