料理⑧ フライパン

ロード三世はオープンキッチンになっていると書きましたが、

カウンターのある居酒屋だったらよくある形かもしれません。

でも、うちの店は本格的にオープンで、

要するに、コンロもまな板も、すべてカウンターのお客さんのほうを向いているのです。

たいていのオープンキッチンは、

お客さん側はドリンクをつくるところであったり、

せいぜい料理の盛り付けをするところというのが普通ではないでしょうか。

ロードはそれが全部反対で、

包丁捌きも、フライパイ捌きも全部お客さんの真前でやるので、

すべて丸見えになります。

ですから、お客に向かって「見せる」ことが必要になります。

下手なことはできないのです!!

 

包丁に次いで重要なのが、フライパンです。

ここをかっこよく見せることが求められるのです。

でも、そんなん最初からできるわけもなく、

広田さんによる修行が始まるのです。笑

 

まず最初は、ダスター(台拭き)でやります。

フライパン振りは、パンの先の方の壁に具材を当てて、

それを素早く引いてひっくり返したり煽ったりします。

具材をどうやって前に移動するか、

どうやって引っ掛けるか、

角度であったり、スピードの緩急であったり、

けっこう細かな動きが必要で、

これは慣れないとなかなかコツはつかめません。

ダスターの次は氷です。

これはめっちゃいい練習になります。

具材を前に動かして、

どのタイミング、どの角度で引けばいいか。

滑りがとてもいいので、

気を抜くとすぐ具材が元の場所に戻ったり、

前に飛び出していったり。。。。

 

氷の次はパン粉。

だんだんと、こぼしたらヤバイもので練習していきます。

次が生米。

「これ、こぼしたら、今夜の食事は無しね」

とか広田さんがビビらせてきます。

最後にまかないの食事をしばらくつくって、

ようやく合格したら、お客さんの料理をつくらせてもらえました。

ここまででだいたい1ヶ月ちょいくらいでしょうか。

週3か4日やってましたから、

なかなかいいセンスではないでしょうか(自画自賛

ようやくまともに振れるようになりましたが、

でも、まだこれだけでは不十分なのです。

(続く)