料理⑦ レシピ

そのおじさん、ロード三世にどれくらいいたのかよくわからないのですが、

たぶん、この人がこの店の味をつくってきたんでしょう。

広田さんが入ったときには、普通の五徳のあるコンロだったそうですが、

このおじさんがいるときには、

ここはただの鉄板で、

この鉄板の上でハンバーグ焼いたりピラフつくったり、

すべての「焼く」「炒める」料理をここでつくっていたそうです。

だからオープンキッチンになってるんだなと思いました。

 

この人が残したものが、そう「レシピ」です。

洋食のソース類(デミグラスソース、ピザソース、ミートソース、カレーなど)は全部浅野さんがつくっていましたから、

このおじさんがレシピとして残していたのは、

和風のソース類とドレッシング類、

そしてすべての料理のつくり方です。

大学ノートにびっしりと書き連ねてありました。

まあ、だけど、これ見ながら料理つくるわけではないのですが、

(料理のつくり方はすべて広田さんに教えてもらうだけ。広田さんもたぶん誰かに教えてもらったはず)

情熱というか、自信というか、自負というか、そんなものを感じてしまうノートでした。

あ、ピザ台とか、分量がはっきりと書かれているのは見てやってたな。

そして、広田さんがいなくなってひとりになってから、

時々引っ張り出して、参考にもしていました。

当時ない料理も載っていたので、

いろいろ想像しながら読むのはおもしろかったです。

(続く)