料理⑤ 包丁
私自身の高校生までの料理経験は、
インスタントラーメン、目玉焼き、卵焼き、野菜炒めくらいのレベルです。
料理にはまったく興味がなかったし、
親からもやってごらんとも言われませんでした。
まあ、貧しい家でしたので、食に関してはお粗末なものでした。
料理で最初に教えてもらったのは、
広田さんがつくったものを盛り付ける仕事。
でも、これは料理じゃないな。
やはり、盛り付け前の、「包丁」、「火」の扱いがないと。
で、最初に包丁です。
厨房には、刃渡り30cmほどの牛刀と、
ペティナイフが2、3本ありました。
それ以外にもありましたが、普段使いはその程度です。
さて、牛刀でスパスパいくかと思うでしょうが、
牛刀は肉切ったり、野菜をザクザク切ったりとか、
力が必要なときにしか使いません。
料理のほとんどはペティナイフで済ませます。
この、ペティナイフが何にでも使えるようになると本物だよ、
と言われました。
最終的に、私は、まったく牛刀を使わなくなりましたので、
その意味はよくわかります。
包丁使いで、一番練習になるのは、
キャベツの千切りと、玉ねぎのみじん切り。
一番というのは、まあ、その作業が毎日あったからなんですが。笑
次の日のランチに使うキャベツの千切りを、
夜の部で大量に作ります。
「千切り器」なるものが世の中にありますが、
そいつらが切るよりもさらに細い千切りを切ることがノルマです。
最初は牛刀握るのもおっかないので、(めっちゃ切れる)
ビビリながらの作業です。
不思議なもので、ビビってるとよく指までスライスします。
まあ、よく切れるので、下手に力を入れなければ怪我はしません。
ビビって力が入ると怪我しちゃう‥そういう感じです。
最初のうちは、私の指の皮のスライスや、
爪のスライスが入ったサラダを食べた方も多かったと思います。笑!
でも、1ヶ月もかからないくらいで、
手元を見なくても切れるようになりました。
細さも広田さんくらいに切れるようになりました。
玉ねぎのみじん切りは、ハンバーグの材料です。
一応ハンバーグはうちの店のメインで、
美味しいと評判だったので、ランチの分と合わせて、
大量の玉ねぎのみじん切りが必要になるのです。
これは気持ち良い作業です。
ペティナイフを使うのですが、
よく切れるので涙も出ません。
いい包丁は、とても気持ちいいです。
いい包丁というのは、よく切れるだけじゃないと思います。
なんだろう、握ってみて自分の手にしっくりくるというか、
自在に扱える快感を与えてくれるもの、
かな。
(続く)