ぼのぼの 第44巻

 

ぼのぼの 44 (バンブーコミックス)

ぼのぼの 44 (バンブーコミックス)

 

 漫画ですが…

私はこれは、良質の読み物だと思っています。

 

今を遡ること、35年前。

うら若き甲斐崎青年は、兄貴のこ汚い下宿の部屋で、

一冊の漫画本と出会います。

それがこの「ぼのぼの」です。

作者は、宮城県出身いがらしみきお

以来、単行本が出版されるたびに買い集め、ただいま44巻目になります。

35年間で44巻ですから、けっこう間隔が長いですね。

それはこの漫画が四コマ漫画だからです。

連載されているのはそんなにメジャーではない雑誌です。

でも、この漫画はかなりの人たちに受け入られています。

子どもたちにも、けっこうな割合で認知されています。

それは、アニメにも、映画にもなったから。

アニメはちょっと原作のテイストを無視してギャグっぽくなっているのは残念ですが、

めっちゃおもしろいのはたしかです。

 

 

さて、この漫画、なぜ私が好きかというと、

主人公のぼのぼの(ラッコの子ども)が、

けっこう物事の本質をついた問いを平気で投げかけるからなんです。

純粋無垢なゆえに生まれる問い、今回は…

 

「ぼくはこの前魚をとっていた」

「岩の陰に小さいカニがいたよ」

「そしてお昼を食べている時に気がついたんだ」

「あの小さないカニとはもう二度と会えないんじゃないかって」

 

という問いからはじまります。

そして、最終的に…

 

「この世界はほんとにスゴイなぁと思うのだ」

 

となります。

ぜひ、読んでみてください。笑。

作者によると、

今まで会った人とこれから会う人のうち、約9割はもう二度と会えないそうです。

 

 

このぼのぼのの漫画を、私はずっと新規採用の頃から教室に置いていました。

(リーディング・ワークショップに取り組むまで)

なので、私の担任した子どもたちはみんな、ぼのぼのが大好きです。

私が好んでこのぼのぼののイラストを、

ノートやらテストやら学習資料やらに書き込むので、刷り込まれるんですね。

本自体も、たくさんの子どもたちに読まれました。

みんな、「かわいい!」「おもしろい!」とか言ってましたが、

あるとき、卒業生(高校生になっていた)の男の子が遊びに来た時、

その男の子が、

「先生、あのぼのぼのは、小学生じゃほんとの意味はわからないよ」

と、伝えてくれました。

私は思わず「だろ!」と大きな声で答えたことを覚えています。

その子は、自分んちでもぼのぼのの漫画を買ってもらい、読み続け、

高校生になった時に、気付いたようです。

そう、このぼのぼのは、とても哲学的な本なんです。

だから、読み物としても十分楽しめるのです。

 

 

この漫画にはもうひとつ私が魅力を感じているものがあります。

それは毎回のユニットの最初に載せられる「詩」なんです。

その詩がまたいい!

昔、作者のいがらしみきおさんは、

このぼのぼのの漫画をモチーフにして詩を書き、

毎年カレンダーにして販売していました。

その数年分をまとめて、1冊の詩画集として出版しました。

 それがこの本です。

 もうこれが最高にいいのです。

この中で、私が最高に好きな、そして、座右の銘ならぬ、座右の詩にしているのがこれです。

 

知っていることは多くなったけど、

知らないことはもっと多いだろう

知らないことが多いのは構わないんだけど、

見たことがないのはくやしい

歩いたことがないのはもっとくやしい

 

体験学習法信奉者の私としては、

私のために書いてくれた詩だと思っています。

詩も書くし、絵本も書きます。

絵本は全部で6冊。

1番のおすすめはこれ。

 

 それ以外のも全部紹介しちゃおう!

全部いいので!!

 

クリスマスのこと (ぼのぼのえほん)

クリスマスのこと (ぼのぼのえほん)

 

 

 

かわいそうのこと (ぼのぼの絵本)

かわいそうのこと (ぼのぼの絵本)

 

 

 

メガネヤマネくんのこと (ぼのぼの絵本)
 

 

 

 

 

しまっちゃうおじさんのこと (ぼのぼのえほん)

しまっちゃうおじさんのこと (ぼのぼのえほん)

 

 3、4、5冊目の絵本たちは、まさに「哲学」です!

ぜひぜひ子どもたちと楽しんでください。

 

最後に、詩画集の中から、1編紹介します。

この詩画は、大きなサイズで出版されて、

額縁に入って、いがらしみきおの直筆サインが入って販売されました。

うら若いことはない甲斐崎おじさんは、

この詩画に新宿のある店で出会います。

ときはクリスマス、自分へのプレゼントとして、

大枚叩いて思わず買ってしまったわけであります。

 

誰かが来ないかな

そして

「迎えに来ました」

って言ったらスゴイ

その上

「みんな待っていますよ」

って言わないだろうか

それからオジギをされて

ボクの肩をうれしそうに

トントンたたいたりしないだろうか

 

絵と一緒に読むともっといいんだけどな〜

絵と一緒に読みたい人は、軽井沢の私の家まで遊びに来てください(^ ^)/