料理④ 広田さん

ロードには、私以外にもう一人アルバイトの学生さんがいました。

その人が、広田さんです。

八王子の、工業系の大学の、3年生でした。

この人に、私は料理を教わりました。

料理というか、「仕事」の仕方ですね。

「料理」について本格的に教わるのはもう少し後のことです。

 

広田さんに、仕事のいろはを教えてもらいました。

最初は、見てるだけ。

洗い物をしながら、客の接待をしながら。

広田さんはとっても無愛想な人で、

なかなかにとっつきにくい人でした。

この人と楽しげに会話したことは1年間くらい一緒に仕事した中で、

数度しかありません。

 

ですので、基本教えてくれない・・・

ママさんがいたので、わからないことはママさんに聞いてました。

広田さんの料理は、仕事の料理。

如何に早く、多数のメニューを同時に出すか。

これはすごかった。

なので、あんまり味を追求しようとか、

見た目を綺麗に盛り付けようとか、

そこはどうでもいい感じ。

手際よく、無駄なく、スマートに料理を出す。

レシピはあったので、その通りにやればいい。

そんな料理です。

 

でも、いつまでも教えないと、

自分がずっと料理してなきゃいけないので、

少しずつ私に料理を教えてくれるようになりました。

(続く)